OPEN the KEWPIE 2010

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社長対談

食経験と生きる意欲

大越
介護食は、多くは高齢の方が食べるものですが、私はそうした方々も含めて食育が必要だと考えています。食育は子どもばかり対象になりがちですが、どの世代にも食事に対する姿勢を伝えていく必要があると思うのです。その点について、企業として何かアピールしていかれると良いのではないかと思いますがいかがでしょうか。
鈴木
おっしゃる通りですね。私たちが経営理念の中で掲げている一文に「Food, for ages 0-100」とあるのですが、これは、赤ちゃんからお年寄りまで、それぞれの世代のさまざまな食の場面に、私たちならではの商品をお届けしてしていきます、という意思表示なのです。
同じものばかりを食べる「ばっかり食」や、家族で食卓を囲んでいても、それぞれがばらばらなものを食べる「ばらばら食」が問題だと、服部幸應先生が言われています。そうすると、味を感じる味蕾が発達せず、せっかくおいしいものを食べても、その味がわからない舌を持つことになります。
いろいろなおいしさがわかってこそ、食べることに喜びや幸せを感じられるのではないでしょうか。そうすれば、年をとっても自分の口でおいしいものを食べたいという執着心を持つようになります。それが元気につながると考えています。ただ栄養として補えれば良い、とあきらめてしまう人は生きる元気も衰えてしまうのではないでしょうか。
大越
おいしいものを食べたいという意欲を持ち続ける必要があるということですね。食べたいという意欲が元気につながるというのは良く分かります。一口でも口から食べることで変わってくるのです。 それまでチューブを通して栄養を摂っていた方が、口から直接ミルクプリンを食べたことをきっかけに元気を回復されたという話があります。小田原の特別養護老人ホーム潤生園で作られ、「救命プリン」と名づけられたそのプリンが、介護食として注目された最初の例です。
介護食は、そうした食べる能力が低下している人たちが回復していくための、最初の一歩という役割も持っているのです。
鈴木
本当に自分の口を使って味わうということが大事なんですね。その意味でもおいしさをたくさん知っておくということは大切なことだと思います。食べる楽しみは生きる楽しみや喜びにつながっていきますから、生きるための源といえるかもしれません。

会話もごちそう

鈴木
おいしさと共に、もう一つ大切だと感じていることがあります。 キユーピーは兵庫県にあるキッザニア甲子園に「マヨネーズ工場」パビリオンを出展しているのですが、先日その縁で子どもたちによるインタビューを受ける機会がありました。その時に、食卓では「会話もごちそう」なんですよ、という話をしたのです。
インタビューの後、何が一番印象に残ったの?と聞きましたら、なんと「会話もごちそう」という話なんです。子どもたちがそれだけ共感したというのは、食卓の雰囲気や、みんなでテーブルにつく共有の時間を持ちたいという願いなのかもしれません。
大越
その通りですね。そのためにも、忙しいからとあきらめるのではなく、週に一食だけでも、みんなで食べる機会を持って欲しいと思います。特にお父さんが関わることができると良いですね。例えば、子どもとお父さんで作るお料理レシピ集のようなものはどうでしょうか。父と子で料理を一緒にする日曜日があっても良いのではありませんか。
鈴木
子どもと作る機会があれば、父親が料理に興味を持つようになり、「今度はお父さんがみんなの料理を作ってあげよう」と思うかもしれませんね。それもまた食卓での会話につながりますよね。
大越
料理をすることは達成感にもつながります。それによりさらにおいしさも増すものです。
鈴木
一緒に作って一緒に食べるからこそ、ということですね。私は、そうした食卓に高齢の方も加わり、かたさと形は違うかもしれないけれども、老いも若きも同じものを食べているという食卓の風景になって欲しいと思っているんです。そうした機会を通じて、お互いの食べているものに関心を持つことも、世代を超えた食育につながるのではないでしょうか。

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