OPEN the KEWPIE 2010

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社長対談

対談 - キユーピーが考えていきたいこと

1919年の創業以来キユーピーは、「楽業偕悦」の社是のもと、マヨネーズをはじめとして、育児食から介護食まで、あらゆる世代のお客様に様々な食品を提供してきました。高齢化が進む中でこれからの介護食はどうあるべきか、咀嚼機能を考慮した食物に関する研究を専門とされる日本女子大学の大越ひろ教授と当社の鈴木豊が対談しました。

鈴木
今日はよろしくお願いいたします。私たちは食品メーカーとして、当然のことだと思いますが、少しでもお客様に満足いただけるものをお届けしたいという思いで、これまでさまざまな食品を手がけてきました。昨今、社会の高齢化が進む中で、1998年から取り組み始めた介護食もその一つなんです。
始めたきっかけは、当時すでに手がけていたベビーフードのノウハウが、そのまま介護食にも当てはまるだろうと考えたためでした。実際には、ベビーフードは生まれて初めて口にする食べ物なのに対して、介護食はさまざまな食経験を持った方が食べるものです。その違いについてはどのようにお考えでしょうか。
大越
ベビーフードと介護食は、どちらもやわらかさといった点で似ています。日本介護食品協議会はやわらかさの4段階の区分を定めていますが、最初は「赤ちゃん向けと同じ表現でよいのだろうか」と感じました。ですが当時ある雑誌で、お年寄りがお孫さんのために離乳食を購入して、それを自分も食べているという記事を見かけて、むしろ同じほうがわかりやすいと考えるようになりました。
赤ちゃんとお年寄りで実際に求められる違いとしては、味の濃さが挙げられると思います。
薄味のベビーフードと違って、介護食というのは食べやすさだけでなく味の濃さが必要になってきます。高血圧などを考えると塩分は控えないといけませんが、味覚が衰え始めているお年寄りは味が濃くないと食欲が湧いてこないのです。また、そもそも赤ちゃんは唾液がたくさん出るけれども、お年寄りは出にくいんですね。味の違いで唾液の出方が違ってくることは分かっていて、食べた時の風味やおいしさによっても異なります。ですから介護食では、やわらかさといった物性だけでなく、味も大きなポイントになります。
鈴木
どんなに食べやすくても、味がおいしくなければそれを生かせないということですね。

おいしさにこだわる

鈴木
4年前の株主総会で、「社長は今発売しているベビーフードを全部試食しているんですか。中にはおいしくないものがあります」というご意見がありました。もちろん試食はしているのですが、ご期待に添えていない点もあるのかもしれないと思い、改めてベビーフードを全部集めて試食する機会を持ちました。
一度に全種類を食べてみて、中には料理として、その味がしないものがあるのです。例えば、八宝菜の材料が入っているのと、八宝菜の味がするのとは違います。八宝菜には八宝菜の味が必要であり、材料が入っているだけでは八宝菜とはいえませんよね。
大越
それは具材を一緒くたにして調理するレトルト食品だからではないかと思います。以前私たちも介護食について味のチェックをしたことがあるのですが、残念ながらおいしくないという評価が多かったです。ただ、保存性やコストを考えるとレトルト食品の方が使いやすいので、よりおいしいレトルト食品をめざして欲しいと思っています。
鈴木
おっしゃる通りです。そこで、ベビーフードの次に取り組んだのが、介護食なんです。
作る側は食べる人にしっかり栄養を取って欲しいという思いがありますので、いろいろな具材を入れるのですが、そうすると逆に料理としての味はぼやけてしまいがちになります。食べやすくするために細かく刻まれたカレーやシチューのにんじんは、栄養はあるけれども味や見栄えは、いまひとつ「にんじんらしくない」んです。
食べやすく栄養があれば、それでよいと考えてしまってよいのか。本当にお客様の求めていることは何なのかをもう一度考えながら作り直してみました。味はもちろん、具材の色とか大きさなど、見た目にもおいしくなるように工夫を重ね、当たり前ですがカレーはカレー、シチューはシチューになり、研究員一同と喜びあいました。
でも、まだ満足してはいません。研究所には今まで30点だったのが70点ぐらいになったレベルということだと言っています。健常者が食べているのが100点とすれば、そこまでもっていかねばダメなんです。
もう一つ介護食で課題と考えているのは価格です。介護食はそれを再生産できるだけの利益が得られれば良いと社内で言っています。お客様があまり負担を感じることなく買い続けられる価格でもっと提供できるようにしたいと思っています。

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